本日、NASEBANAL Recorder のベータ版をリリースしました。
リリースに先立ち、開発中のアプリをAI(Claude)に評価してもらいました。返ってきた言葉は——
「地味によくできている」
・・・身の引き締まる思いです。
開発の背景——人間のためのメトリクス管理
システム開発の現場では、CPU使用率、メモリ消費量、レスポンスタイムといったメトリクスを常時収集・可視化するインフラが整っています。Prometheus、Grafana、Datadogといったツールがその基盤を支えています。
近年はさらに、Observabilityという概念のもと、メトリクス・ログ・トレースを横断的に組み合わせ、複数サービス間の相関を分析することで、単一のメトリクスでは見えなかったボトルネックや異常を検出する手法が主流になっています。
人間のメトリクスも同様です。体重、睡眠時間、運動量、血圧——これらは単独で見るだけでなく、相互の関係性を観察することで初めて見えてくるInsightがあります。「睡眠が短い翌日は体重が増える傾向があるか」「練習量と安静時心拍数の推移に相関はあるか」——こうした問いに答えるには、複数の指標を同一のプラットフォームで記録・可視化できる環境が必要です。
しかし、既存アプリの多くは特定用途に特化しており、「体重と睡眠時間を並べてグラフ化したい」「自分独自の指標を記録したい」という要求には対応が難しいのが現状です。
NASEBANAL Recorderは、システム監視の世界でObservabilityが当たり前にしている「複数メトリクスの統合的な計測・可視化・共有」を、人間のメトリクスに対してシンプルに実現するという目的のもと開発しました。
汎用性の高いレコード管理
NASEBANAL Recorderの中核は、タグでデータ種別を自由に定義できるタグベースの管理システムです。体重、血圧、練習タイム、睡眠時間、気分スコアなど、あらゆる指標を事前定義なしに記録できます。
対応するデータ型は4種類です:
- 小数 (Decimal): 体重、体温、血糖値など
- 整数 (Integer): 歩数、回数、ページ数など
- 時間 (Time): タイム計測(
H:MM:SS形式で自動表示) - 真偽 (Boolean): 服薬確認、習慣チェックなど
データ型に応じた表示フォーマットは自動で適用されます。設定不要で正しく表示される——これが「地味によくできている」と評された理由のひとつかもしれません。

REST APIによるデータ連携
NASEBANAL RecorderはREST APIを公開しており、UIからの手動入力に加えて外部ソースからのデータ自動連携が可能です。
- スマートフォンアプリからの記録
- IoTデバイス(スマート体重計、血圧計など)からの自動送信
- スマートウォッチとの連携
- 他サービスからのWebhook受信
継続的な記録の最大の障壁は、記録行為そのものの手間です。APIを通じて入力を自動化することで、データは意識することなく自然に蓄積されていきます——いわば、自分自身のためのPrometheusエクスポーターです。
API連携の一例として、NASEBANAL Recorderと連携する専用のストップウォッチを提供しています。

計測開始・ラップ・クリアをワンタップで操作でき、計測完了後はそのままNASEBANAL Recorderにタグを付けて登録できます。ラップタイムはスプリットと累計タイムの両方で確認でき、チェックボックスで登録対象を選択することも可能です。
タグ単位で実現する柔軟なデータ共有
NASEBANAL Recorderのデータ共有は、タグ(指標)単位で行います。共有の方法は2種類あります。
グラフ共有ページ(URLベース)
タグのグラフをURLひとつで公開できます。SNSへの投稿はもちろん、リンクを知っている相手であれば誰でもアクセスできるため、特定の関係者への情報共有にも活用できます。

共有ページのサンプルはこちらからご覧いただけます。
ユーザー間のタグ共有(プライベート)
メールアドレスを指定して、特定のユーザーにタグのデータを直接共有できます。閲覧のみ(read)または編集も許可(write)といった権限設定も可能です。「体重データはかかりつけ医に閲覧権限で」「練習タイムはコーチに編集権限で」といった使い方ができます。
主なユースケースは以下のとおりです:
- コーチング: トレーニングデータをコーチと選手でリアルタイム共有
- 医療・健康管理: バイタルデータを主治医や専門家と共有
- 家族間のモニタリング: 離れて暮らす家族の体重・血圧を遠隔確認
- 研究・実験: 計測データをチームで共有・可視化
- SNS発信: 記録データをそのままSNSで公開
システム監視ダッシュボードの共有がチームの状況を透明化するのと同様に、NASEBANAL Recorderの共有機能は人間のメトリクスを必要な関係者に対して透明に公開する仕組みです。「記録する」から「見せる」へ——個人の習慣が関係者との連携ツールに変わります。
Cloudflareを用いたSecurity by Design
NASEBANAL RecorderはCloudflareのデベロッパープラットフォームを全面的に採用しています。
フロントエンドはCloudflare Pagesにデプロイし、バックエンドAPIはエッジで実行されるサーバーレスランタイムであるCloudflare Workers上で動作しています。アプリケーションデータはWorkers向けに設計された分散SQLiteデータベースのCloudflare D1に保存しており、DNSもCloudflareで管理しています。
このスタックを採用することの実際的なメリットのひとつは、DDoS保護とWAF(Webアプリケーションファイアウォール)が追加設定なしにデフォルトで適用される点です。これはCloudflareがインターネットの広範な領域に提供しているのと同等の保護であり、健康データを扱うアプリケーションの基本的なセキュリティベースラインとして、妥当な水準だと考えています。
このアーキテクチャの選択は、Security by Designの考え方に基づいています。セキュリティをあとから追加するのではなく、インフラの選択段階から保護を組み込む——Cloudflare Stackはそれを自然に実現する手段のひとつです。個人の健康データや生活習慣を扱うアプリケーションにおいて、設計段階からセキュリティを担保することは、ユーザーへの基本的な誠実さだと考えています。
ベータ版のご利用について
ベータ期間中は、Familyプランを含む上位プランのすべての機能を無料でお試しいただけます。まずはNASEBANAL Recorderにアクセスし、日々のデータ記録を始めてみてください。
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